薄毛の種類

老人性脱毛症

老人性脱毛症とは性別に関係なく60歳を超えた人に脱毛や薄毛が多く見られるようになる状態です。加齢とともに人は細胞の活性が鈍り、新しい細胞を作る力が衰えてしまいます。これによって頭髪に限らず体全体の毛が薄くなります。

進行には個人差があるものの、頭部全体に抜け毛や薄毛が見られるのが特長的です。AGAに比べ、老化現象が原因の老人性脱毛症は進行を食い止めるのが難しいとされています。しかし毛乳頭機能を活性化させたり、適切なマッサージなどのヘアケアを行うことで進行を遅らせ、発毛を促進させることが期待出来ます。

毛乳頭とは、頭部の毛細血管から栄養を受け取り、毛母細胞に栄養を送り届ける役目を担っています。ですからこの毛乳頭が健在な限り発毛は期待できるのですが、白髪を抜いたりするとこの毛乳頭を破壊してしまうことになります。

また喫煙も血管が収縮してしまうので毛細血管が細くなってしまい毛乳頭の機能を阻害してしまうことにつながります。同様に不規則な生活リズムや偏食も毛乳頭に十分な栄養を送れなくなってしまい老人性脱毛症の進行を促す原因となってしまいます。通常毛穴からは2から3本の毛髪が生えています。

白髪を無理に抜くとこの毛穴が傷んでしまい、その毛穴から生えている他の毛髪にも悪影響が出てしまいます。毛乳頭の真上には角化細胞(ケラチノサイト)と色素細胞(メラノサイト)と呼ばれる物質が存在しています。これらは毛幹を作る役割を持っています。白髪とは色素細胞の一つメラニンが不足しているために起こる症状です。メラニンの産出鈍化もまた老化現象の一つです。

びまん性脱毛症

頭の広範囲にわたって発症し、毛髪全体が抜け落ちて薄くなります。特に頭頂部の皮膚が透けて見えるようになるのが特長的です。中年以降の女性に多く見られる病気で、AGAとは違い前頭部(おでこ)の生え際の後退はあまり見られないため脱毛している部位の境目がはっきりとしない事が多いのが特徴です。

原因として考えられるのは加齢による細胞自体の老化や動脈硬化による血流障害などにより毛母細胞に十分な栄養がいきわたらずに引き起こされるものが先ず第一に考えられます。次に考えられるのがストレスです。

近年では社会進出する女性が増え、男性並みに社会的なストレスを受けるようになりました。また育児や離婚などから精神的ストレスを抱え急激に脱毛が進むケースも少なくありません。また女性に多い原因の一つともなっているのが極端なダイエットです。

びまん性脱毛症は毛根に栄養が十分いきわたらないことで引き起こされるものです。極端に食事制限をしてしまっては毛髪に栄養が行き渡らず休止期に入る毛髪の割合が増えるというのはごく自然な話なのです。

また経口避妊薬(ピル)も原因の一つと考えられています。女性ホルモンと頭髪量とは密接な関係があります。経口避妊薬はプロゲステロンという女性ホルモンの一種で、これを一定期間内服した後で中止すると、ホルモンバランスが崩れ一時的に休止期毛が多くなりびまん性脱毛症を引き起こすと考えられます。

またヘアスタイルを気にするあまり極端なヘアケアを行う人もいますが、界面活性剤などを含むシャンプーを大量に使用することは頭皮と毛髪にとって好ましいことではありません。またリンスのしすぎ、ムースやジェル、スプレーの使いすぎなども脱毛の原因となりびまん性脱毛症を進行させてしまうことになりかねません。

治療法としては血管拡張剤や育毛剤を用います。特に植物から摂取される多糖類を主成分とした薬剤は女性に効果的だといわれています。また生活習慣を見直すことも重要な事です。

瘢痕性脱毛症

瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)とは外傷、やけど、ガンの放射線治療、頭皮のおできなどが原因で、毛根が破壊されその結果脱毛してしまう病気です。一般的に瘢痕(はんこん)とはやけどや外傷による傷跡が硬く厚くなって盛り上がっている皮膚の状態のことを言います。

やけどや外傷などなんらかの外的刺激を過剰に受けると回復するときに皮膚や粘膜が引きつった感じで治癒していきますが、そのときに受けたダメージが原因となって毛母細胞を破壊してしまうもので、AGAの原因の殆どがホルモンや遺伝など内的な要因に起因するものに対し、瘢痕性脱毛症は外的要因によるものが大きな違いとなります。

瘢痕性脱毛症の場合、毛母細胞が破壊されているために再度髪の毛が生えてくる可能性が殆ど無く、またAGA同様、治療が遅れると脱毛の範囲が広がっていく可能性もあるため、早期治療が重要になってきます。治療には皮膚形成手術が必要な場合があるので形成外科(まれに皮膚科)で行われることになります。

瘢痕性脱毛症同様に外的要因で引き起こされる脱毛症に牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)があります。牽引性脱毛症とは頭髪が過度に引っ張られる状態が持続している場合に起こります。主な原因としてはポニーテールやちょんまげのようにヘアスタイルで頭髪をきつく束ねたりする場合に起こりやすくなります。

牽引性脱毛症の場合はヘアスタイルを変更することで回復するのが一般的です。牽引性脱毛症は頭皮に回る血液の流れが滞るために起こるので回復を早めるには頭皮のマッサージなどで血行を促進するのが効果的です。ただし、強く牽引されている状態が慢性化すると回復できないほど毛根がダメージを受ける場合があるので気をつけましょう。

粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)

脂漏性脱毛症は油分の多いべとついたフケが原因ですが、乾性のかさかさしたフケが原因で起こる脱毛症を粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)と言います。粃糠(ひこう)とは「役に立たない残り物」と言う意味ですが、この場合はフケのことを指します。

脂漏性脱毛症と同様に過剰なフケが原因で引き起こされます。粃糠性のフケの場合は過度なシャンプーやマッサージ、ブラッシングなどで頭皮が傷つきk異常発生します。フケ自体が不衛生なものなので頭皮によくありません。またAGAの原因にもなりかねません。

適切なヘアケアは脱毛症の進行を防ぐ大事なポイントです。シャンプーやマッサージを毎日やっているにも関わらずフケが多いと感じる場合はヘアケア自体に問題があるのかもしれません。皮膚科などに相談して正しいヘアケアの知識を身につけましょう。

トリコロマチア

抜毛症(トリコチロマニア)は精神的衝動によるものと考えられていいるため衝動制御障害(ICD)に分類されます。しかし若い女性などはファッションで眉毛を抜いて細く見せるというのが流行したとき トリコチロマニア患者も増加したので全てが衝動制御障害と決め付けてしまうことは出来ません。

また男女問わず成人に多いのは頭髪ではなく鼻毛を抜いて鼻腔内に炎症を引き起こし、脱毛するトリコチロマニアです。これも衝動制御障害というよりはエチケットとして認知されているので一概に全てを精神的な障害と決め付けることには危険性が含まれているといえるでしょう。

しかし、一旦毛を自ら抜いてしまうと習慣付いてしまう傾向もあります。毛を抜くということが癖になってしまった場合は衝動制御障害の可能性があります。

脂漏性脱毛症

脂漏性脱毛症(しろうせいだつもうしょう)とは頭皮から過剰な皮脂が分泌され、それがベトベトの脂漏性のフケとなり、この脂漏性のフケが原因で起こる脱毛症です。頭皮には皮脂を分泌する皮脂腺があります。頭皮や頭髪の乾燥を防ぎ、潤いを与えるのに重要な役割を担っていますが、体質やストレス、体調不良、環境刺激など様々な原因によってこの皮脂腺が異常に刺激を受けてしまい、通常よりも皮脂を多く分泌した結果、油分の多いべとついた脂漏性のフケとなります。

この脂漏性のフケが頭皮の毛穴に詰まって炎症を起こしたり、毛穴から細菌が入り込んで毛母細胞にダメージを与えることで毛が抜けていってしまう病気です。予防と対策には何よりも脂漏性のフケをそのままにしないことが大切ですので、日ごろの適切なヘアケアが肝心となります。

中毒性脱毛症

中毒性脱毛症とは呼んで字のごとく、中毒によって頭髪が抜けていく病気です。AGAは一度発症してしまうとその後も症状が進んでいってしまいますが、中毒症脱毛症の場合は急激に頭髪が抜けてしまうものの一時的な脱毛でその後は収束していくのが通常です。

中毒性脱毛症の原因としては熱病性の疾患や重症に陥った病気、妊娠や手術などにより、心身に過剰なストレスがかかることで起こるとされています。またストレス以外では、抗がん剤やインターフェロン等化学療法に使用される薬の副作用によるものやホルモン分泌に関わる甲状腺や下垂体の機能低下も中毒性脱毛症の原因となります。

中毒性脱毛症は性別、年齢に関係なく起こります。中毒性脱毛症と良く似た脱毛症に女性の出産後の脱毛があります。これは妊娠中には女性ホルモンの影響でヘアサイクルが変化し、休止期に抜ける髪も毛が抜けずに成長し続け、出産後に大量に脱毛するものです。

この場合は約1年ほどで元の状態に戻ります。AGAが成人男性に多い脱毛症なのに対し、女性や子供に多い脱毛症が抜毛症(トリコチロマニア)です。これは頭髪や眉毛などの体毛を自分で引き抜いてしまった結果、毛穴に細菌が入り込み炎症を起こして脱毛する症状です。

円形脱毛症

円形脱毛症とは、頭にコイン状のハゲが出来る病気です。性別年齢に関係なく誰でも発症する可能性があります。自覚症状はほとんどなく、ある日突然気が付いたら円形脱毛症に気づくのです。

放置していると症状が進んでしまい、しだいに大きくなっていったり、数箇所に出来ていたりします。一般的に10円ハゲと呼ばれることもありますが大きさや形は様々で円形や楕円形の脱毛巣が特有の症状です。しかし症状が酷い場合には頭髪全体が抜け落ちたり、眉毛やまつ毛、陰毛や体毛など体全体の毛が抜け落ちる場合もあります。

この病気の特徴的な症状としては脱毛に勢いがあり、まとめて抜けるというものでしょう。それまで正常に成長していたはずの毛髪が急に抜けてしうというのが、他の脱毛症と違うところです。もし自分で円形脱毛症が疑わしいと思っている場合、脱毛巣周辺の髪の毛を軽く引っ張ってみて下さい。

もし、数本まとめて毛が抜ける場合は円形脱毛症が進行していると考えられます。また脱毛巣の頭皮は周囲に比べてへこんだ状態になっていたり、赤くなっている場合も円形脱毛症の疑いがあります。

円形脱毛症は進行がストップすると数ヶ月で柔らかい毛が生え始め、その後健康な硬い毛髪が蘇ってくる事が多いと言われています。ストレスが原因の場合は放置していても自然治癒する場合が多いのですが気になる場合は皮膚科を受診してみましょう。

また頭皮を不潔にしていたり、頭皮の質に合わないヘアケアを繰り返すことや睡眠不足などで体調不良を招いた場合などで円形脱毛症になる場合もあります。